連続テレビ小説「カーネーション」の第76話のあらすじは以下の通りです。
第14週「明るい未来」「ムスカリ」
第76話では、戦争の終焉とその後に訪れる日常の変化が鮮明に描かれており、感情を大いに揺さぶられる展開となっています。昭和20年8月15日、ついに終戦を迎えた糸子は、戦争という長く苦しい時代が終わったことを仏前に報告します。しかし、ここで初めて、彼女は戦争で失った家族や大切な人々の存在を深く実感し、溢れる涙が止まりません。このシーンは、戦争によって感情を抑え続けていた糸子の心の痛みが解放される瞬間であり、非常に感動的です。
戦争中、糸子は家族を守り抜くために懸命に働き続け、感情を押し殺し、日々の過酷な現実に立ち向かってきました。特に勝や善作、勘助、泰蔵といった彼女の大切な人々を次々と失ったことで、糸子の心は深く傷ついていたはずです。しかし、その悲しみを感じる余裕すらなく、ただ前に進むしかなかった彼女が、終戦という一つの区切りを迎え、ようやくその全ての悲しみを受け入れざるを得なくなる瞬間は、戦時中の日本の厳しい現実を象徴しているように感じられます。
そして、糸子がモンペを脱ぎ、アッパッパに着替えるシーンは象徴的です。モンペは戦時中の日本女性の象徴的な服装であり、日常の自由を奪われた象徴でもありました。そんなモンペを脱ぎ捨て、糸子が解放感に浸る姿は、戦争が終わり、新しい時代への一歩を踏み出す彼女の決意を感じさせます。また、アメリカ軍の到来を前にした不安を口にする周囲の声に対して、糸子が「二度とモンペなど着たくない」と心から思う姿には、戦争を生き抜いた女性たちの強さと新たな希望が込められているように思います。
さらに、木之元との闇市での買い物シーンは、戦後の混乱の中にも生活の楽しみを見出す姿が描かれています。戦争が終わり、ラジオからは軍歌ではなく明るい音楽が流れることに喜ぶ糸子と木之元の姿は、日常生活が少しずつ戻ってきたことを実感させ、視る者にも希望を感じさせます。しかし一方で、だんじり祭りが中止になるという現実も描かれており、戦争の爪痕がまだ完全には消えていないことを感じさせます。
そんな中でも、木之元や木岡、そして直子が無断でだんじりを引き出し、祭りを強行する姿には、岸和田の伝統と彼らの強い信念が現れています。だんじりは彼らにとって命そのものであり、どんな困難な状況でも守り続けたいという思いが、このシーンからひしひしと伝わってきます。戦後の混乱の中でも、自分たちの大切なものを守り抜こうとする姿に感動し、熱く胸を打たれます。
戦争が終わっても、全てがすぐに元通りになるわけではありません。しかし、このエピソードでは、糸子たちが新しい時代へと希望を抱きながら進んでいく姿が描かれ、今後の展開に大きな期待を寄せずにはいられません。