連続テレビ小説「カーネーション」の第86話のあらすじは以下の通りです。
第16週「揺れる心」「ホテイアオイ」
連続テレビ小説『カーネーション』第86話は、昭和21年の戦後の復興期における女性たちの力強い歩みを描いた感動的なエピソードです。戦争で多くのものを失い、困難な時代を生き抜いてきた糸子や奈津、玉枝たちが、新たな一歩を踏み出す姿が胸を打ちます。
物語は、奈津が安岡髪結店を訪れるシーンから始まります。床に伏せていた玉枝が、自ら店を改装し、安岡美容室として再出発する決意を固めます。戦後の荒廃した状況から立ち上がる姿勢に、当時の日本社会が抱えていた困難と、それに立ち向かう強さを感じさせます。玉枝は奈津に「忘れて先に行こう」と励ましますが、この言葉は戦時中に傷ついた全ての女性たちへのエールでもあるように思えます。表の世界の女ではないと言い張る奈津に対し、玉枝が過去を捨てて前に進むよう説得するシーンは、深い人間ドラマが描かれています。
一方、糸子は奈津に借金の保証人として助けられたにも関わらず、礼を言わせない姿勢を貫きます。この糸子の行動には、互いに助け合う仲間意識や、戦争での苦労を乗り越えてきた者同士の無言の絆が表れています。また、玉枝と八重子の和解シーンも印象的です。これまでの軋轢を乗り越え、心からの謝罪と和解を果たすことで、新たなスタートを切る準備が整います。
玉枝の提案で揃えられた純白の制服を着た玉枝、八重子、そして奈津の姿は、まるで新しい時代の幕開けを象徴しているかのようです。純白という色は、清らかさや新生を表すだけでなく、戦後の再生を象徴しており、この選択は物語のテーマと深くリンクしています。三人が糸子と一緒に新しい安岡美容室の前で記念撮影をするシーンは、まさに彼女たちがこれからの未来に向けて力強く進んでいく決意を象徴しています。
そして、物語のラストで描かれるだんじりの季節。昭和21年のこの年からは、女の子もだんじりを引けるようになったという描写があります。これは日本の社会が、戦後の混乱から徐々に性別の枠を超えて平等な社会を目指すようになっていく時代の流れを象徴しています。法被姿で嬉しそうに出かける直子を見つめる糸子の姿からは、母として、そして一人の女性として新しい時代を実感し、その中で娘が自分の道を歩み始めることに対する喜びと希望が感じられます。
この第86話は、戦後の再生と新しい時代に向けた女性たちの強さと絆を描いた珠玉のエピソードであり、今後の展開がますます楽しみになります。