連続テレビ小説「カーネーション」の第84話のあらすじは以下の通りです。
第15週「愛する力」「ベニバナ」
第84話では、戦後の混乱期に生きる女性たちの姿が鮮やかに描かれています。特に、糸子と奈津という二人の対比が興味深いです。昭和21年という時代背景を考えると、戦後の日本はまだ復興の途上で、多くの人々が生活に困窮し、闇市がにぎわう中で生きていくために何でもしなければならない現実があったことがうかがえます。
この回で注目すべきは、寡黙で真面目な周防の存在です。周防は背広の仕立てをこなすために、朝早くからオハラ洋装店に通い続けています。そんな彼に惚れ込む千代の姿も描かれており、彼が既婚者であることが残念だという描写は、周防の誠実な人柄を際立たせます。戦後の荒廃した日本においても、こうした真摯な人物が再び糸子たちの生活に影響を与えていく様子が印象的です。
一方で、糸子の幼馴染である奈津の状況は、戦後の日本社会の暗い現実を映し出しています。奈津が「パンパン」として生きることを知った糸子は、大きな衝撃を受けます。この時代、戦後の混乱の中で多くの女性たちが困難な選択を強いられたことは、歴史的にも知られています。奈津が生活のためにこうした道を選ばざるを得なかった背景には、戦争がいかに人々の生活を変え、追い詰めたかが如実に表れています。
糸子は奈津を助けたい一心で、闇市に赴きます。ここでの描写は、糸子の正義感と友人への深い思いが伝わってきます。闇市で奈津を見つけた際の怒鳴り合いと取っ組み合いのシーンは、二人の複雑な関係性と、奈津をなんとか救いたいという糸子の強い感情がぶつかり合います。戦後の日本では、こうした闇市が人々の生活を支える一方で、犯罪や非合法な行為も横行しており、奈津の境遇もまたその一部として描かれています。
また、糸子が奈津を助けるために玉枝のもとを訪れるシーンは、彼女の決意の表れです。玉枝という人物の存在が、物語において何らかの鍵を握るのではないかと期待させる展開です。
このエピソードは、戦後の社会の厳しさを背景に、それぞれが生き抜こうとする女性たちの姿が描かれており、今後の糸子と奈津の関係がどのように発展していくのかが非常に気になるところです。糸子がどのようにして奈津を救おうとするのか、そして二人が再び友情を取り戻すことができるのか、その行方が注目されます。