連続テレビ小説「カーネーション」の第100話のあらすじは以下の通りです。
第18週「ライバル」「ロベリア」
第100話は、昭和30年(1955年)2月という大事な節目に位置しており、物語の中で重要な転機を迎えます。この回では、優子の美大受験が迫る中、彼女の内面の葛藤が描かれています。優子は自分の進路について真剣に考えなければならず、ついに糸子に泣きつく場面が非常に印象的です。しかし、糸子は厳しい母の姿勢を崩さず、「自分のことは自分で考えろ」と優子を突き放します。このシーンは、親子の愛情と葛藤を強く印象づけます。
昭和30年代は、日本が戦後復興に向けて歩みを進めている時期であり、教育や進学が重視される社会の変化が背景にあります。特に女性の教育に対する意識が高まりつつある中で、優子が選ぶ進路には特別な意味があります。糸子の厳しい言葉は、優子の将来を真剣に考える母親の愛情の裏返しとも言えるでしょう。
ところが、明くる朝、千代がこっそりと優子を送り出すシーンでは、家族の愛情が見え隠れします。糸子が心の中でほっとする様子や、直子も優子が出発して安心する姿は、複雑な感情を抱えながらも家族としての絆が強いことを示しています。普段は厳しい糸子も、やはり優子のことを気にかけているのです。
しかし、優子は東京行きの汽車には乗らず、北村を訪ねることに決めます。ここでの彼女の告白、「自分は画家になるつもりはなく、絵を描くことで糸子にほめられたかった」という言葉は、彼女の本音を語る重要な瞬間です。優子は自分の夢を追うのではなく、母の期待に応えようとしていたことに気づくのです。この自己認識が、彼女の成長を物語っています。
結局、優子は美大の受験を辞め、家に帰ることになります。その後、彼女は大阪の洋裁専門学校に進むことを決意します。この選択は、彼女が自らの道を見つけるための一歩となるでしょう。さらに、糸子が娘たちに贈った赤い鞄は、家族の絆と成長を象徴するアイテムとして描かれています。直子が優子よりも下等な鞄をもらったことを知り、ライバル心を燃やす様子は、姉妹の関係性の深さを表現しています。
このエピソードは、優子が自分の進路を見つける過程と、それを支える家族の姿を鮮明に描き出しています。時代背景や家族の葛藤、そして個々の成長を巧みに織り交ぜたストーリーは、見る者の心に響くものがあります。『カーネーション』は、単なるドラマを超え、家族や夢、そして自分自身を見つめ直すための大切な物語を提供してくれます。次回はどのような展開が待ち受けているのか、期待が高まります。