連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第46話のあらすじは以下の通りです。
第10週 「1962」
第46話の「カムカムエヴリバディ」は、るいと錠一郎の間に芽生えつつある絆と、るいの心に深く刻まれた母・安子(やすこ)の記憶が交錯する美しいエピソードです。昭和37年の夏、東京の熱気とともに、ジャズという異文化が人々の心を揺さぶり、戦後日本の若者たちに自由と新しい生き方を示唆していました。
この回で印象的なのは、錠一郎がジャズのサマーフェスティバルにるいを誘う場面です。るいがクリーニング店の平助と和子にその日だけ早退させてほしいと頼むと、彼らはそれを心から喜び、るいが心を開き始めたことに温かい眼差しを向けます。平助と和子が娘のように思っているるいとともにサマーフェスティバルのための洋服を選ぶ場面には、日本の家族の絆や温もりが感じられ、また戦後の家族のあり方がどのように変わってきたのかを垣間見せてくれます。和子が「娘と買い物できた」と喜ぶ言葉は、るいを支えたいという彼女の愛情の深さを物語っています。
そして待ちに待ったサマーフェスティバルの当日。るいが和子と選んだワンピースを身にまとい、錠一郎とトミーたちが待つジャズ喫茶「ナイト&デイ」へと足を運びます。錠一郎がるいの姿を見て喜ぶ表情には、彼がるいに特別な感情を抱き始めていることが感じ取れ、その初々しい心の変化に胸が温まります。
やがて始まったトミーらの演奏の後、錠一郎のトランペットが鳴り響きます。彼が選んだ曲は『On the Sunny Side of the Street』。この曲はアメリカで生まれ、希望に満ちた明るいメロディで人々に愛されてきました。だが、るいにとってはただのジャズの名曲ではありません。演奏が始まると、るいの心に母・安子の面影がよみがえり、忘れかけていた母との思い出が胸を締めつけます。
安子と別れ、過去を封じ込めてきたるいが、音楽の力でその封印を解かれ、動揺し始める姿には、戦後の傷跡と再生の物語が重なります。時代が進むにつれ、人々の心の中で複雑な感情が呼び覚まされるように、るいもまた、過去に向き合わなければならない瞬間に直面しています。これはただの個人のドラマではなく、昭和という時代を生きた人々の再生と成長の象徴であり、るいがどのように母との絆を乗り越えていくのか、その先の展開が期待されます。