第7話 「ジュンに会ってはいけません」
第7話は、まさに運命の岐路に立たされたホ・ジュン(許浚)の苦悩が中心となる回です。歴史ドラマファンとして、このエピソードは特に心に響く内容であり、当時の医術や社会の厳しさが生々しく描かれています。
まず、ホ・ジュンがドジ(道知)の推薦で薬草採りに行く場面から物語が始まりますが、この時点で彼の周囲の人間関係には不穏な空気が漂っています。彼を疎ましく思う仲間たちが意図的に彼を陥れることで、ホ・ジュンは山中で道に迷ってしまいます。仲間の裏切りや孤独な状況が、彼の成長と忍耐を試す試練として描かれているのが印象的です。歴史ドラマならではの、困難に直面しながらも前に進む主人公の姿は、観る者に深い感銘を与えます。
迷った末に、空腹に耐えきれず薬草を食べて倒れてしまうホ・ジュンの姿は、彼の絶望感が強く伝わってきます。しかし、その後に出会うライ病患者(ハンセン病患者)との遭遇は、このドラマが描く医師としての覚悟を象徴する場面です。当時、ハンセン病は恐れられ、差別や偏見の対象でした。ホ・ジュンも例外ではなく、恐怖におののきますが、そこに現れたサムジョク大師が彼を叱責する場面は、ホ・ジュンの心の成長を促す重要な瞬間です。医者として、人を助ける立場に立つ覚悟とは何か、というテーマが鮮明に浮かび上がります。
一方で、イェジン(芸真)の献身的な診療により、ダヒ(多喜)が少しずつ気力を取り戻していく姿も感動的です。彼女はホ・ジュンを探して長旅をし、体調を崩してしまいますが、イェジンの親身な看護が彼女の回復を支えます。歴史ドラマにおける女性キャラクターの強さと優しさが表れており、特にイェジンの存在が物語に温かさを与えています。
さらに、ヤンテがホ・ジュンの母に出会うシーンも見逃せません。山陰(サンウム)までホ・ジュンを探して来たダヒの話を聞き、心痛な面持ちで彼女に会いに行くホ・ジュンの母の姿は、母としての愛情と葛藤が強く表現されています。このシーンでは、母親の心情が丁寧に描かれ、ホ・ジュンの過去と現在が重なり合う瞬間が描かれているのが見どころです。
この第7話は、ホ・ジュンが医師としてどのような道を選び、いかにして成長していくのかが問われる重要な回です。彼の内面の葛藤と、彼を取り巻く人々との関係性が深まっていく様子が、歴史ドラマならではの緻密な描写で描かれており、今後の展開にますます期待が高まります。